TradingKey – 米国の関税緩和と日本のハイテク株の上昇を背景に、日経平均株価は12日(火)取引時間中に一時2.5%高の4万2,867.69円まで上昇し、7月の高値を更新。東証株価指数(TOPIX)も同時に史上最高値を更新した。
市場心理は複数の好材料で押し上げられた。米国のトランプ大統領は対中高関税の適用期限延長を発表する一方、日本製自動車への関税引き下げと一般関税の一時停止を約束。この発表により、日本は関税における「最悪のシナリオ」を回避し、輸出型企業に短期的な安定要因をもたらした。ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフアナリストは、「関税は長期的に見れば必ずしも好材料ではないが、今回の緩和は想定以上に良い内容だ」と述べた。
今回の日経平均上昇の主な原動力は、世界的なハイテク株高だ。米半導体大手マイクロン・テクノロジーが売上見通しを引き上げ、半導体セクター全体が上昇。さらに、キオクシアホールディングスが発表した好決算が日本のハイテク株への資金流入を促した。半導体や自動車メーカーなど輸出関連企業は日経平均の構成比率が高く、指数全体の押し上げに寄与した。
加えて、市場では日本政府が追加的な国内消費刺激策を打ち出すとの期待も高まっている。お盆休暇中にもかかわらず、火曜日の売買高は過去20営業日平均を40%以上上回り、投資家の積極的な姿勢が鮮明となった。KCMトレードのチーフマーケットアナリスト、ティム・ウォーター氏は「米日間の関税合意が明確になったことは、日本経済の先行きに対する投資家心理の改善につながる」と指摘する。
ゴールドマン・サックスの日本株チーフストラテジスト、ブルース・カーク氏は「4月の貿易戦争再燃を回避できたこと、金融政策の正常化、企業収益の堅調さ、米日貿易合意の明確化が、日本株の史上最高値更新を後押しした」と分析。外部環境の圧力が和らぎ、ハイテクの成長モメンタムが続く限り、日経平均の上昇基調は維持される見通しだが、長期的な動向は世界貿易環境や国内政策の実行状況に左右されると述べた。