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〔アングル〕中南米系の共和党支持に動揺の兆し、民主党が中間選挙へ攻勢

ロイターApr 7, 2026 3:49 AM

David Hood-Nuño

- 米共和党が過去10年にわたって南部フロリダ州で優位を保ってきた大きな要因は、キューバとベネズエラ出身の有権者からの支持を集めてきたことだ。その支持基盤が、11月の議会中間選挙を前にほころぶ兆しを見せ始めた。

ロイターが共和党と民主党の政治家や有権者、企業トップら約50人に取材したところ、さえない経済状況や生活費高騰、さらにトランプ大統領の強硬な移民政策が相まって、多くの中南米系有権者にとっては共和党の魅力が薄れ、同党の強固な地盤に民主党が食い込む機会が訪れつつあることが分かった。

2024年の大統領選においてフロリダ州南部マイアミデード郡では、多数を占める中南米系有権者が一斉にトランプ氏に投票したおかげで、共和党候補が30年余りぶりに勝利を収めたが、今度の中間選挙ではそうした支持が揺らぐ恐れが出てきた。

民主党支持者や党関係者の話では、もしも同党が中南米系有権者との連携を築くことに成功すれば、11月の下院選で与野党逆転に必ずしもつながらないとしても、その成果は中間選挙をはるかに超えて持続し、将来的に大きな見返りをもたらす可能性を秘めている。

キューバ系米国人のマルタ・アーノルドさん(80)は「民主党が足場を構築していく非常に大きなチャンスがあると思う」と語った。アーノルドさんは1959年1月1日、フィデル・カストロ氏が政権を掌握したその夜に家族とともにキューバ革命から逃れて米国にやってきた。24年の大統領選は、無党派層として民主党候補だったカマラ・ハリス氏に投票した。

民主党を勢いづかせているのは最近の一連の選挙結果だ。3月のフロリダ州議会選では、トランプ氏の私邸を含む選挙区で民主党候補のエミリー・グレゴリー氏が勝利した。この選挙区は24年の大統領選ではトランプ氏が11ポイント差で勝っており、民主党が奪還した形だ。昨年12月のマイアミ市長選も、民主党のアイリーン・ヒギンズ氏がトランプ氏の支持を得た候補を19ポイント差で破っている。

マイアミの共和党支持者や党関係者・指導者に取材すると、民主党が頑強な共和党支持者の投票先変更を納得させるには依然として高いハードルが存在することは確かで、選挙戦もまだ始まったばかりだ。

それでも民主党の候補者らは対話の場や戸別訪問、集会イベントなどを通じて有権者への働きかけを強化している。フロリダ州の予備選は8月18日の予定だが、民主党全国委員会(DNC)のあるメンバーによると、マーティンDNC委員長はこれに先立って投票参加を促す運動や有権者登録イベントへの資金・人員の投入を約束した。

<共和党議員も危機感>

アーノルドさんは、共和党にとってトランプ政権の強硬な不法移民摘発が最大のマイナス材料になるかもしれないと述べた。25万人強のベネズエラ系住民と120万人のキューバ系住民が暮らす地域では、誰もが自分たちのコミュニティーから身近な誰かが「引き剥がされた」事実を知っているからだ。

超党派の人権擁護団体、ヒューマン・ライツ・ファーストが最近公表した報告書に基づくと、トランプ政権は25年にキューバ系住民を少なくとも1379人空路でキューバに強制送還し、陸路では少なくとも3753人をメキシコに送った。

マイアミデード郡の大部分を選挙区に含む共和党のサラザール下院議員は「非常に大きな失敗だ」と苦り切る。

このような政権による不法移民の一斉摘発が修正されない限り、共和党は中間選挙で敗北しかねない、というのがサラザール氏の見方で、党指導部もそれを認めている。

フロリダ国際大学のダリオ・モレノ准教授(政治学)は、現状ではサラザール氏自身も議席を失いかねないと指摘。この地域の下院選挙区において、サラザール氏が「最も脆弱な立場」になる恐れがあるとの見方を示した。

サラザール氏は20年にフロリダ州第27選挙区で民主党現職議員を破って議席を獲得。この民主党議員は18年の選挙で、長年共和党の現職だった議員の引退後に議席を得ていた。24年の選挙ではサラザール氏が対立候補に約20ポイント差をつけて勝利している。

今の状況に危機感を抱くサラザール氏は、包括的な移民制度改革法案を推進して再選への道を切り開く構えだ。同法案は現在、超党派で約40人の共同提案者が名を連ねている。ただ専門家の分析では、政治的逆風も強いこの法案成立の道のりは険しいという。

<国内外の政策に冷ややかな目>

トランプ氏がキューバの共産政権への圧力を強め、体制転換を公言していることから、キューバ系有権者のトランプ氏に対する忠誠度はなお高い。27年前米国に渡った直後に市民権を獲得し、現在マイアミ市の「リトル・ハバナ」地区に住むルイス・メディナさん(78)は、これからもずっとトランプ氏を支持すると言い切った。

一方ベネズエラ系有権者は、トランプ政権が1月にマドゥロ大統領を拘束した際には手放しで喜んだが、その後トランプ氏が自身の関心は体制転換ではなくベネズエラの豊富な石油資源だと発言したため、次第に懐疑的な雰囲気になってきている。

長年マイアミで暮らしてきた元HBO幹部のグスタボ・グロスマンさんは過去2回の大統領選でトランプ氏に投票し、マドゥロ大統領拘束直後はベネズエラの体制転換が近いと安心感を抱いた。ところがマドゥロ政権の残りのメンバーが引き続き暫定政権を運営していることから、「全面的な」体制転換への期待が消えてしまった。

もっとも多くの中南米系有権者にとっては、トランプ氏の国内政策がより重要な意味を持つ。ピュー・リサーチ・センターが昨年11月に実施した調査では、トランプ政権2期目の最初の1年で中南米系米国人の3分の2以上が「この1年で自分たちを取り巻く状況が悪化した」と答え、約8割は「トランプ氏の政策は中南米系にとってプラスよりも弊害が大きかった」と述べた。

フロリダ州南部在住のベネズエラ系米国人、マヌエル・カランケさんは、トランプ氏の移民取り締まり厳格化を道義的な失敗と見なしている。特に中西部ミネアポリスで移民当局者の銃撃により米国市民2人が死亡した事件を踏まえると、そうした考えが一層強まるという。

世界的な金融サービス企業ストーンX経営幹部のカランケさんは「共和党は中間選挙で負けると思う」と断言した。

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