
Samia Nakhoul Humeyra Pamuk Rami Ayyub Parisa Hafezi
[ドバイ 29日 ロイター] - トランプ米大統領は、イランで政府への抗議活動が再び活発化するのを後押しする狙いで、治安部隊や指導者を標的にした攻撃を含めたさまざまな選択肢を検討している。複数の関係者が明らかにした。
ただイスラエルやアラブ諸国の当局者からは、米国の空軍力だけではイランの支配体制を打倒できないとの見方が出ている。
事情に詳しい2人の米国関係者の話では、イランで今月発生した全国規模の反政府デモが暴力で鎮圧され、数千人の死者が出たことを受け、トランプ氏は同国内に「体制変更」へつながる環境を生み出したいと考えているもようだ。
2人によると、トランプ氏は米政府がそうした暴力行為の責任があると見なす司令官や組織を攻撃し、デモ参加者らに政府の転覆は可能だと自信を持たせることを視野に入れているという。
関係者の1人は、トランプ氏側近が議論している選択肢には、中東地域の米国の同盟国に届く弾道ミサイルや核開発プログラムに打撃を与える、持続的な効果を持つ一段と大規模な攻撃も含まれていると述べた。
別の1人は、トランプ氏は実際に軍事攻撃を採用するかどうかを含めた行動形態について、まだ最終的な決断は下していないとくぎを刺した。
ただ今週には原子力空母を中心とする米空母打撃群が中東に到着し、イラン当局のデモ鎮圧に対して再三軍事介入を示唆してきたトランプ氏にとっては、軍事攻撃能力が高まった形になっている。
一方でアラブ諸国の高官4人、欧米の外交官3人、および協議内容について政府から報告を受けた欧米の高官筋は、こうした攻撃が人々を街頭へ駆り出すどころか、1979年のイスラム革命以来最も血なまぐさい弾圧を受けたことで既にショックを受けているデモ隊を弱体化させる恐れがあると懸念を示した。
中東研究所のイランプログラム責任者アレックス・バタンカ氏は、大規模な軍部の離反がなければ、イランの抗議活動は「英雄的ではあるが、圧倒的な戦力差に直面した」ままだと指摘した。
トランプ氏の威嚇に対してイラン政府高官はロイターに、イランは「軍事的対決に備えつつ、同時に外交ルートを活用している」と説明した一方、米国は外交に前向きではないと不信感を表明した。
イラン国連代表部は28日のXへの投稿で、イランは「相互尊重と利益に基づく」対話の準備はできているが、追い詰められれば「かつてないほど」自衛すると警告した。
イスラエルと米国の計画に直接関与するイスラエル政府高官がロイターに語ったところでは、米国の目標が空爆にあるとしても、イスラエルとしては、それだけではイランの支配体制を転覆させられないと考えているという。
同高官は「政権を転覆させるつもりなら、地上部隊を投入しなければならない」と断言。たとえ米国が最高指導者ハメネイ師を殺害したとしても、イランには「彼に代わる新たな指導者が現れるだろう」と付け加えた。
また同高官は、外部からの圧力と組織化された国内の反対勢力の組み合わせだけが、イランの政治的軌道を転換させ得ると分析した。
この高官の見立てでは、イランで抗議活動を引き起こした深刻な経済危機が続く中で、指導部は混乱によって弱体化しながらも、依然として強固な支配を維持しているという。