Rashika Singh Joel Jose
[30日 ロイター] - 米金融大手シティグループは、IT大手による2029年にかけての人工知能(AI)関連インフラ支出予測を2兆8000億ドル超とし、従来見通しの2兆3000億ドルから引き上げた。世界中に巨大なデータセンターを保有し、クラウドサービスを提供するハイパースケーラーによる積極的な投資と、企業の需要拡大が押し上げる。
米オープンAIの生成AIモデル「チャットGPT」が22年後半に登場して盛り上がったAIブームは、中国のAI新興企業ディープシークが一時的に引き起こした信頼性の危機や、トランプ米大統領の関税政策に対する市場の懸念が残っている。それでも驚異的な金額の設備投資と、データセンターの拡張が続く。
ハイパースケーラー全体による26年末にかけてのAI設備投資は4900億ドルとなり、従来見通しの4200億ドルから上振れすると予測した。
米マイクロソフトMSFT.O、アマゾン・ドット・コムAMZN.O、アルファベットGOOGL.Oなどのハイパースケーラーは、急増するAI需要に対応するために既に数十億ドル規模の投資を手がけている。
シティのアナリストは、ハイパースケーラーは25年第3・四半期決算発表でインフラ支出の追加を織り込む可能性が高いと言及した。
また、世界のAIコンピューティング需要が30年までに55ギガワットの新規電力容量を必要とし、これは2兆8000億ドルの追加支出に相当すると試算した。うち米国だけで1兆4000億ドルに達する見通しだ。
IT企業のAIインフラ支出のための資金調達は、稼ぎ出す利益だけにとどまらなくなっている。演算能力1ギガワット当たり約500億ドルという高額な投資が必要になる中で、借入金にも頼るようになった。
そうした支出がフリーキャッシュフローを圧迫し始めることで、投資家らはIT企業が投資に必要となる資金をどのように調達するのかを問うている。
シティは、日立製作所6501.Tや米製薬大手イーライリリーLLY.N、オランダのウォルターズ・クルワーWLSNc.ASなどの事例を挙げて「企業は、価値の明確な外部検証を提供している」と指摘した。