Anna Hirtenstein Alexander Marrow
[ロンドン 7月10日 ロイター] - ロイターとこの問題に詳しい関係者が確認した文書によると、国内の食糧供給を保護するためにロシアが差し押さえた米国資本の缶詰食品会社は、中国と北朝鮮への輸出で減少している売上を増やすことを計画している。
ワシントンは、モスクワが接収した唯一の米国企業であるグラブプロデュクトの扱いが、停滞しているように見える米ロ関係のリセット計画に影響を与えるだろうと述べている。
ロシア最大の缶詰メーカーであるGlavproduktは、ロサンゼルスを拠点とするレオニード・スミルノフによって設立され、2024年10月にクレムリンによって接収された。モスクワは、同社はロシアの食料供給にとって戦略的に重要であると主張した。
文書によると、売上は激減している。戦略文書やこの問題に詳しい2人の人物によると、生産量は同レベルにとどまっているため、供給過剰によって同社は新たな市場を見つけ、倉庫の容量を増やそうとしているという。
「彼らはロシアの食糧を確保するために私の会社を買収したと主張した。しかし、彼らはこの目的、この正当化に応えていない」とスミルノフ氏はロイターに語った。
スミルノフは会社を取り戻すために法廷で戦っている。次の審問は7月11日にモスクワ仲裁裁判所で行われる予定だ。
ロイターが閲覧した文書によると、6月、グラブプロダクションの国選新経営陣は、北朝鮮や中東を含む新市場への輸出を提案した。彼らはまた、昨年Glavproduktの売上高の約1%を占めた市場である中国への売上を増やそうとした。
Glavprodukt社の新経営陣は、電子メールによる複数回のコメント要請に応じなかった。
この戦略転換は、ウクライナ侵攻以降、ロシアの貿易がどのように変化したかを示している。北朝鮮、中国、そしてロシアに対して制裁を課していない他の国々との貿易は、西側の影響力の外で行われる可能性がある。
Glavprodukt社の軸足は、6月27日にミンスクでプーチン大統領が表明した、アメリカ企業のロシアへの復帰を歓迎する姿勢と矛盾しているように見える。
ウクライナ戦争をめぐる米ロ間の交渉は停滞しており、ドナルド・トランプ大統領は7月3日のプーチン大統領との電話会談後、失望を表明した((link))。
これとは別に、トランプ大統領が中国に貿易関税を課し、北京の報復を招いて以来、米中関係は悪化している。両国は先月、貿易の枠組みについて合意したが、米国は8月に中国製品に対する関税((link))を復活させる可能性があると述べていた。
クレムリンのGlavprodukt社に対する計画は、外資系資産を国家管理下に置くというロシアのアプローチを反映している。
4月、ロイターはGlavproduktがロシア軍への食料供給((link))に使用されると報じた。
ロイターは、軍への供給が開始されたかどうか判断できなかった。
戦略的資産
モスクワは2022年2月のウクライナ侵攻以来、約12の外国企業を一時的な管理下に置いている。
デンマークのビール会社カールスバーグCARLb.COとフランスのヨーグルトメーカー、ダノンDANO.PAは、最終的にクレムリンに好意的な買い手に叩き売り価格で資産を売却された。
ロシアに資産を持つ他の企業には、米国の多国籍企業であるプロクター・アンド・ギャンブルPG.NとペプシコPEP.Oがある。
ロシアは、戦略的企業というレッテルを貼ることで、資産差し押さえを正当化してきた。
情報筋によると、ロシアの検事総長は、グラブプロダクションの予備審問を非公開にすべきだと主張した際にも、同様の理由を用いたという。
検事総長はコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。
ロイターが入手した書類によると、グラヴプロデュクト社の業績は急速に悪化しており、小幅な黒字から毎月の純損失に転落している。
2人の情報筋によれば、先月、農業省は同社に対し、売上高が大幅に減少した理由を説明するよう求めたという。
差し押さえられ、経営陣に引き渡された企業は、雇用と成長を維持する必要に迫られているという。
農務省はコメントを求めたが、すぐに回答は得られなかった。
ロイターが閲覧した戦略文書によると、Glavprodukt社はeコマースの販路を開拓し、中国への輸出を増やす計画を立てている。
従業員は、同社の商標を中国で登録しようとしていることが、文書で明らかになった。
魚の缶詰やコンデンスミルクのような商品の中国への前払い出荷が予定通りに到着していないことが文書で示され、輸出拡大の潜在的な落とし穴が浮き彫りになった。
(1ドル=78.1500ルーブル)