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〔アングル〕トランプ関税で変わる米国のメニュー、国産ワインへの切り替え進む

ロイターApr 1, 2026 6:35 AM

Emma Rumney Waylon Cunningham

- ニューヨークに拠点を置くケント・ホスピタリティ・グループが運営するレストランやバーでは、かつてワインリストの定番だったシャンパンやスパークリングワインがリストラ対象となっている。関税の影響で価格が高騰したためだと、同グループのワインディレクターのクリステン・ゴセルジャック氏は説明する。

ロイターが取材した米国のレストラン、小売業者、ワイン・スピリッツ卸売業者5社によると、昨年以来、欧州などの酒類生産地域からの輸入品に課された関税の影響を受け、同グループのような米国企業はメニューの刷新や小売店のラインナップの入れ替えに動いている。

昨年8月の米国と欧州連合(EU)間の協定に基づき、多くの欧州産品に対する関税率は15%に設定された。その後、2月にトランプ米大統領が発動した欧州向けを含む一連の関税措置が、米最高裁によって覆された。すると直ちに新たな関税措置が発動され、多くの欧州産輸入品に少なくとも10%の追加関税が課されることになった。

同グループ傘下の高級レストランやバー、会員制クラブで提供されるワインの仕入れを担当するゴセルジャック氏は、2月にプライベートなイベント用に用意していたシャンパンの卸売価格が、1本あたり48ドル(約7600円)から約5ドル値上がりしているのを見て驚いた。

同じ業者から仕入れているスパークリングワインも1本あたり約3ドル値上がりした。さらに今年に入り、最大20%の値上げを通知してくるサプライヤーが増えたという。

ゴセルジャック氏は、フランスでしか製造できないシャンパンやスパークリングワインなど長年取り扱ってきた銘柄を、より安価な代替品に切り替える計画だと語った。

高すぎると、同氏はため息をついた。

<ワイン業界に真っ先に打撃>

2025年4月にトランプ大統領が打ち出した広範な関税措置は、真っ先に米国向け酒類の輸出に影響し始めた。ユーロスタットのデータによると、24年だけで、ワイン、スピリッツ、アペリティフなどの欧州からの酒類の対米輸出額は約90億ユーロ(1兆6500億円)に達していた。

だが多くの生産者は値上げを回避した。価格面の問題や大麻飲料など代替品の普及、飲酒習慣の変化などで、米国での酒類販売はすでに減少傾向にあるからだ。

各社は関税発動前に大量の在庫を米国へ出荷するか、酒類の販売が好調な10月─12月のホリデーシーズンには価格を安定させるために自らコストをかぶった。しかし、こうした戦略も限界に近づきつつある。

「コスト転嫁の圧力は高まっている」と大手卸売業者リパブリック・ナショナル・ディストリビューティング・カンパニーのランス・エマーソン上級副社長は述べた。同氏は、この傾向はワインでより顕著であり、蒸留酒であるスピリッツのメーカーは利益率の中で関税を吸収する余地が大きいと付け加えた。

同氏によると、一部の輸入ワイン銘柄の小売価格は25年にすでに5─12%上昇しており、26年にはさらなる供給元からの値上げが予想されている。

その結果、小売業者やレストランはすでにメニューや在庫を調整しているか、そうした変更を今年には余儀なくされると、エマーソン氏と別の卸売業者は予測した。

エマーソン氏によると、レストランがカクテルやワインのメニューを低価格なものへと変更する一方、小売業者は取り扱い商品の品揃えを縮小し、輸入品と国産品のバランスを取っているという。レストランやバーなどでも、輸入ワインを米国産ワインに置き換える動きがますます増える可能性があるという。

<米国ブランドに恩恵>

米卸売業者サザン・グレイザーズ・ワイン・アンド・スピリッツのザック・ポールマ氏によると、価格上昇も一因となり、10月から1月にかけて輸入ワインの販売量は約8%減少。同期間の国産ワインの減少幅は3%にとどまり、2月も同様の傾向が見られたという。

全米ワイン・スピリッツ卸売業者協会のフランシス・クレイトン最高経営責任者(CEO)によると、会員の卸売業者は、国産ワインの代替品を提供するなどして顧客飲食店のワインリストやカクテルメニューの刷新を支援しているという。

カリフォルニア州のワインブランド「ジョシュ・セラーズ」は、3月中旬までの13週間で売上高が8.3%増加した。一方、ワインカテゴリー全体では3.6%の減少となった。ブランドを所有するドイチ・ファミリー・ワイン&スピリッツの最高マーケティング責任者ダン・クライマン氏は、この業績について、少なくとも一部は競合の輸入ワインに対する関税の影響によるものと見ている。

同社では、取り扱っているジョシュ・セラーズと輸入もののワインの価格を据え置いている。

「米国における最適な価格帯は、グラス1杯10─12ドルのワインだ」と、クライマン氏は言う。その価格帯を上回ると多くの消費者が注文しなくなるためメニューから外されてしまうとし、「消費者は特定の価格帯での提供を求めている」と付け加えた。

ジョシュ・セラーズのワイン、カベルネは、グラス1杯約10ドルで提供されている。

ロサンゼルスのレストラン「ワイフ・アンド・ザ・ソム」のオーナー、クリス・ルチェーゼ氏とクリスティ・ルチェーゼ氏は、同店の「グラス売り」メニューにおいて、一部の欧州産ワインを国産に切り替えたと語った。

同店が仕入れていた欧州産の職人が作るチーズや肉類の価格も今年は劇的に跳ね上がった。

「チーズとシャルキュトリーの品揃えをすべて国産に切り替えるしかなかった」と2人は語った。ただし、以前輸入していた欧州産よりも、米国産の方が高価な場合もあるという。

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