Amanda Stephenson Arathy Somasekhar
[カルガリー/ヒューストン 25日 ロイター] - カナダの主要産油地域アルバータ州は、日本の石油精製部門への金融投資を検討しているもよう。事情に詳しい2人の関係筋が明らかにした。石油輸出の最大貿易相手国である米国への依存を減らす狙いがあるとみられる。
同筋によると、アルバータ州政府は複数の日本の石油精製会社と初期段階の協議を行っており、同州のオイルサンドで生産される重質油を1社または複数の日本企業が処理できるようにするコークス炉の建設資金を支援する合弁事業の可能性を模索している。
ただ、関係筋の1人は、協議はごく初期段階にあり、まだ何も確定していないと述べた。
アルバータ州は外国でエネルギーインフラへの投資を行った前例はないが、昨年のトランス・マウンテン・パイプライン拡張によって太平洋岸経由の輸送能力が増大したことを受け、石油輸出拡大に前向きだ。
日本にとっては、コークス炉建設によりカナダ産のような重質油の国内処理量を増やすことが可能になる。硫黄分を多く含む重質のカナダ産原油は現在、日本の既存の精製設備の多くに適合しておらず、日本は原油の大半を中東から輸入している。
太平洋経由で輸送できるカナダ産原油の輸入を拡大できれば、地域の緊張が高まった場合に輸送が混乱する可能性のある南シナ海経由への依存も低減できる。
アルバータ州政府の代表はカナダ原油への関心を高める目的で日本と韓国などアジア諸国を数回訪問した。
同州のジーン・エネルギー相は「アルバータ州は日本で軽質油と重質油を販売する機会を模索している」と述べた。州政府が日本の石油精製部門への投資を協議しているかどうかについてはコメントを控えた。
カナダのホジソン天然資源相の報道官は、日本によるカナダ産原油追加購入の機会を認識しているとした上で、「天然資源省は状況を注視し、カナダの国益を推進する戦略的なエネルギープロジェクトを支援するために州や業界と提携する用意がある」と述べた。