
TradingKey - によると、2025年に世界で二番目に大きな暗号資産であるイーサリアム(ETH)は二度の「ジェットコースター」を経験し、いずれも約50%の下落を記録しました。現在は3,000ドルの節目を割り込み、執筆時点で2,924ドルで推移しています。
[イーサリアム価格チャート、出典:TradingView]
2025年1月には一時3,700ドル近くまで上昇しましたが、その後売りが殺到して60%超の急落を招きました。4月には底値1,400ドルまで下落したものの反発し、8月には再び5,000ドル近辺の史上高値を付けました。
その後2か月の高値圏でのもみ合いを経て、3回の上抜けは失敗に終わり、10月に下落へ転じました。11月20日には2,600ドルまで下落し、最大で48%の下落幅を記録。以降は低迷し、3,000ドル以下で狭いレンジを形成しています。
2025年のイーサリアムの値動きはビットコインと概ね同方向で推移しました。四年サイクル、米国大統領選の結果、米国の暗号資産規制の変化、そして連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測など、共通の要因が両通貨に影響を与えています。
[2025年のイーサリアムとビットコインの価格変動、出典:TradingView]
具体的には、2025年前半の下落は大統領選の「利好の織り込み売り」による利益確定が引き金となり、年末の下落はFRBの利下げ観測が市場心理を冷やしたことが主因とされています。
また、イーサリアムはビットコインよりも投機性が高い点も特徴です。2025年4月の急落ではETHが約60%下落した一方、ビットコインは約10%の下落にとどまりました。CryptoQuantのアナリストは、2025年のイーサリアムにおける先物取引の比重と取引高の急増が価格形成に大きく影響したと指摘しています。
今後5年間のイーサリアム価格は、(1)規制と経済政策、(2)業界サイクル、(3)イーサリアム自身の要因の三つが主要なドライバーとなります。イーサリアム内部の要因としては、技術アップグレード、エコシステムの利用拡大、戦略的保有(リザーブ)が挙げられます。
米国では大統領選以降、バイデン政権期の厳格な規制からやや友好的な姿勢へと変化しており、これは中長期的な追い風となる可能性があります。一方でFRBの金融政策やその不確実性は、暗号資産市場のボラティリティを高める要因です。
ビットコインの半減期サイクルに基づく見方では、2026年に新たな弱気局面が訪れる可能性が指摘されており、イーサリアムもそれに追随するリスクがあります。ただし一部の投資銀行は四年サイクルの有効性が薄れ、強気相場が長期化すると見る向きもあります。
2026年には上半期のGlamsterdamアップグレードや年末の「Hegota」などの技術的イベントが予定されており、これらが価格にポジティブな影響を与える可能性があります。長期的には、イーサリアムの価値はエコシステムの利用度合い(TVL:総ロックバリュー)に強く依存します。
執筆時点でイーサリアムのTVLは減少し、約680億ドルとなっていますが、Sharplinkの幹部はTVLが2026年までに10倍に成長する可能性を示唆しています。TVLの拡大は、実需である資産のオンチェーン化(RWA:Real World Assets)の進展にかかっており、米国の規制当局や市場参加者の動向が鍵となります。
イーサリアムの機関保有は増加傾向にあり、67の実体が合計681万ETHを保有しています。これは供給の約5.63%に相当し、時価で200億ドル超と推定され、現物ETFの保有量を上回る規模です。こうし
Matrixportは、イーサリアムが大きな三角保ち合いの中で収束しており、2026年に重要な方向性の決定点を迎える可能性があると指摘しています。10x ResearchはRSIやストキャスティクスなどの指標から、2026年初にトレンド転換の兆しが出る可能性を示唆しています。短期的には、11月21日の安値2,600ドル以降、下値を切り上げる動きが見られるものの、上値の突破には新たな触媒が必要です。
アナリストの見解は分かれており、Benjamin Cowenは2026年に新高値を期待しにくいとする一方で、Tom Leeは2026年初に7,000〜9,000ドル、長期的には20,000ドルの可能性を示唆しています。さらに、渣打銀行のアナリストは2030年に8,000〜12,000ドル、Bernsteinは15,000ドル、Cathie Woodはより楽観的に20,000〜30,000ドルとする見解を示しています。これらの幅は、採用率、規制、マクロ環境、技術進展といった前提の違いを反映しています。
2025年のイーサリアムは激しいボラティリティを経験し、価格はビットコインと高い連動性を示しました。短期的には規制の動向、経済政策の不確実性、そして技術アップグレードの進捗が価格の方向性を左右します。長期的には、イーサリアムが技術的に進化し、資産のオンチェーン化やエコシステムの拡大を実現できるかが価値再評価の鍵となります。投資判断を行う際は、複数のシナリオを想定したリスク管理と分散が重要です。