Ernest Scheyder Jarrett Renshaw
[21日 ロイター] - トランプ米政権が、半導体の国内生産促進を目的として2022年に成立したCHIPS法に基づく補助金のうち、最低20億ドルを重要鉱物掘削事業に再分配することが分かった。またラトニック商務長官に重要鉱物関連の資金調達を担当させる。2人の情報筋がロイターに語った。
米国は電子機器や防衛産業で広く使用されている重要鉱物での中国への依存度を低減することを目指しており、既にCHIPS法へ割り当てられた資金を引き出すことで新たな支出を回避する。
1人の情報筋によると、国防総省が米国内唯一のレアアース採掘企業、MPマテリアルズMP.Nのレアアース掘削に投資することを今年7月に発表したことを受け、政権内の鉱物戦略の所管について疑問が投げかけられた。
情報筋によると、ラトニック氏が政権の意思決定プロセスを監督することにより、重要鉱物事業の資金調達に関する決定でより大きな役割を得ることを目指している。ラトニック氏は国防総省などの政府機関と協力し、資金援助の決定を調整する役割を担うという。
ホワイトハウスはコメント要請に応じなかった。国防総省当局者から直ちにコメントを得ることはできなかった。MPマテリアルズはコメントを拒否した。
バイデン前大統領が署名して成立した総額527億ドルを米国内での半導体製造・研究促進に充てるCHIPS法に関し、トランプ大統領は「ひどいものだ」と批判。企業への手厚い支援に等しいと主張し、補助金を巡る半導体メーカーとの再交渉などを通じて変更に乗り出している。
ラトニック氏は、商務長官に就任する前には証券会社キャンター・フィッツジェラルドの最高経営責任者(CEO)を務めていた。キャンターは、ロイターが6月に米輸出入銀行が融資を検討していると報じた鉱業会社クリティカル・メタルズの大株主となっている。