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COLUMN-〔BREAKINGVIEWS〕中国の輸出拡大、国内需要の弱さの裏返し

ロイターMar 17, 2026 5:13 AM

Ka Sing Chan

- 中国製品は世界中を席巻しているが自国の消費者をつかんでいない。輸出額は2025年に過去最高を記録した後、26年1―2月に前年同期比で21%増えたが、こうした目覚ましい成果が雇用や賃金の伸びに表れていない。製造業を支援する政策もまた家計所得を抑制しているのだ。この不均衡をどのように是正するのかを見れば、消費拡大の誓いを行動につなげるのかあるいは単なる言葉だけかどうかわかるだろう。

トランプ米大統領の予測できない関税紛争でさえも、中国が25年に1兆2000億ドルの貿易黒字を積み上げるのを止められなかった。その勢いは26年に入ってさらに加速している。米国を除く全ての主要経済国が中国製の製品をより多く購入しており、1―2月の欧州向けの輸出額は27.8%増と急伸した。

しかし、旺盛な海外需要と打って変わって国内は無気力そのものだ。政府が16日発表した1―2月の小売売上高はわずか2.8%増だった。新型コロナウイルス禍の期間を除けば、2000年以来の小幅な伸びにとどまった。

そのような不一致は中国のマクロ経済政策の枠組みに不快な問いを投げかけている。とりわけ、低金利政策や限定的な社会保障のような方策が政府の長年掲げてきた家計消費の拡大と全く正反対の事態をもたらしているのではないかということだ。20年から続く不動産不況の結果、下落した地価は製造業者の拡張コストを引き下げたが、一方で住宅価格の下落もまた消費者信頼感を激しく冷え込ませている。

堅調な輸出は賃金上昇につながっていない。民間部門の工場労働者の平均賃金上昇率はかつての二桁台から24年にマイナス圏に転じた。政策立案者たちが中国の製造業の技術向上を推進し続けているため、昨年はさらに悪化したかもしれない。そうした推進の動きは、集積回路(IC)の26年に入ってからの出荷が前年同期比で72.6%増えている点に反映されている。

だが、自動化の拡大や人工知能(AI)主導の生産は労働需要を抑制し、雇用と賃金を圧迫して労働者階級の不安を高めつつある。

輸出額の拡大は現在のペースを維持しないだろう。もしも中国が維持すれば、貿易黒字は1兆5000億ドルに近づき、米政府と貿易休戦がちょうど11月に期限を迎える状況で貿易相手各国を激怒させるような金額となるだろう。

中国政府が社会保障の改善や賃金の上昇を含めた家計所得の引き上げを通じて消費を底上げすると語れば、中国の製造業の競争力は低下する。中国政府は輸出エンジンを回転させ続けるか、経済構築を実行する代償を払うのかどちらかしかできない。両方ともに同時に手に入らないのだ。

●背景となるニュース

*中国税関総署が10日発表した統計によると、中国の2026年1―2月の輸出額(米ドル建てベース)は前年同期比21.8%増となった。ロイターがまとめた予測の中央値の7.1%増を大幅に上回った。nL6N3ZY0B9

*中国国家統計局が16日発表したデータによると、1―2月の小売売上高は前年同期比で2.8%増えた。nL6N404078



(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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