
Arsheeya Bajwa Aditya Soni
[18日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアNVDA.Oが19日に第3・四半期(8-10月)決算を発表する。投資家は、足元で急速に広がってきた人工知能(AI)バブルの懸念を和らげる材料が出てくることに期待している。
最近では富豪のピーター・ティール氏が率いるヘッジファンドや、ソフトバンクグループ9984.Tが保有するエヌビディア株を全て売却したことを明らかにした。
過去3年で1200%も高騰したエヌビディア株は今月に入ってこれまでに7.9%下落している。
背景にあるのは、AIを巡るブームが市場の基礎的条件を超え、関連銘柄の全面的な売り局面が迫っているのではないかとの不安感だ。
LSEGのデータによると、エヌビディアの第3・四半期売上高は549億2000万ドルと前年同期比で56%強の伸びになる見通しだが、かつて多くの四半期で達成してきた3桁の成長率には程遠い。また売上高は過去12期連続で市場予想を上回っているものの、その差は次第に縮小しつつある。
2008年の米住宅市場崩壊を予測したことで知られる空売り投資家マイケル・バリー氏は、大手クラウド事業者が、エヌビディアの半導体を含めたAI用機械設備の減価償却を標準的な期間よりも長期化し、人為的に利益を膨らませていると批判している。
エヌビディアにとって当面の課題は、需要に見合う十分な供給量の確保に苦戦していることだ。
こうした中でエヌビディアはGPU(画像処理装置)、CPU(中央演算処理装置)、ネットワーク機器とさまざまな冷却オプションを組み合わせた、より複雑かつ大規模なシステムを展開。さらに最上位チップ「ブラックウェル」の増産や、次世代チップ「ルービン」の投入準備などにより、利益率が圧迫されている。
第3・四半期の調整後粗利益率は前年同期比で2%ポイント弱低下し、73.6%になる見込み。純利益は53%増の295億4000万ドルと予想される。
投資家は、エヌビディアのオープンAIに対する最大1000億ドルの出資や、同業インテル株50億ドル相当の取得などがバランスシートに及ぼす影響にも注目している。
6月27日時点のエヌビディアの現金・流動性資産残高は116億4000万ドルだった。
また中国との取引も引き続き懸案だ。米政府の規制により、エヌビディアは最先端製品を中国に輸出できず、ジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)はブラックウェルの中国向け販売に関する議論に進展はないとしている。