
Stephen Nellis Akash Sriram
[ワシントン 30日 ロイター] - 米アップルAAPL.Oのティム・クック最高経営責任者(CEO)は30日、ロイターのインタビューで、年末商戦期のiPhone販売と総売上高について、市場予想を上回る見通しを示した。米中貿易摩擦の影響など供給面で制約が続く中で、iPhoneの最新モデル「17」需要が堅調なことが背景にある。
この日発表した第4・四半期(7─9月)決算は売上高、1株当たり利益ともに市場予想を上回った。これを受け、アップルの株価は引け後の時間外取引で一時3.7%上昇した。
クック氏はインタビューで、2026年度第1・四半期(25年10─12月)のiPhoneの売り上げが前年同期比で2桁の伸びとなり、総売上高は10─12%増加するとの見通しを示した。LSEGがまとめたアナリストの予想はiPhone売上高が9.8%増の759億1000万ドル、総売上高は6.6%増の1325億3000万ドル。
7─9月期は、iPhone「17」と「16」の一部モデルで需要に対応しきれない状況だった。中国では最薄モデル「Air」の発売が遅れた。
クック氏は7─9月の大中華圏の売上高がアナリスト予想を下回ったのはAir発売の遅れが「主な理由」と説明。その上で「新製品に対する(中国での)反応は良い。 第1・四半期は成長を回復すると期待している」と語った。
ただ、iPhone製造面の供給制約が今四半期に入っても続いていると指摘。「第1・ 四半期も17の一部モデルでなお供給制約が発生している。可能な限り迅速に受注に対応しようとしている」と述べ、需要に追い付かない状況は「良い問題だ」 とした。
投資家が、アップルのビジネスで最大のリスクの一つに挙げるのが人工知能(AI)機能実装の遅れだ。アップルは、AIアシスタント「Siri(シリ)」の大々的な更新を来年実施する予定。 クック氏は更新に向けて「 順調に進捗(しんちょく)している」と説明した。
ガベリ・ファンズのリサーチアナリスト、マキノ・リュウタ氏は、「Airの販売は低調で、ベースモデルとProモデルは予想を上回ると予想している。ガイダンスは予想を上回った。10─12%の成長は強い」と述べた。
一方、アップルはハードウエア販売への依存度が高く、米中貿易戦争の影響がより大きい。アップル幹部は30日、関税関連費用が11億ドルに上ると明かし、3か月前の予測と一致した。ケバン・パレク最高財務責任者(CFO)は、10─12月期の関連費用が14億ドルに増えるとし、粗利益率は47─48%と予想。LSEGによると、市場では46.9%と予想されている。