
Niket Nishant Rashika Singh
[ 29日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディア NVDA.Oの時価総額が29日、世界で初めて 5兆ドルの大台に乗せた。 人工知能(AI)半導体市場を主導する中、株価上昇傾向が続いている 。
2022年の対話型生成AI「チャットGPT」登場以降、AIブームが株式相場を押し上げており、エヌビディアの株価も12倍に上昇した。
29日の取引で同社株は午前の取引で一時約5%上昇し、最高値を更新。3%高で取引を終え、時価総額は5兆0300億ドルとなった。
エヌビディアの時価総額は今年7月に史上初の4兆ドルを突破し、その後わずか3カ 月で5兆ドルに到達した。 暗号資産(仮想通貨)市場全体の時価総額を上回る規模だ 。
ハーグリーブス・ランズダウンのシニア株式アナリスト、マット・ブリッツマン氏は 「エヌビディアの時価総額5兆ドル達成は単なるマイルストーンではなく、エヌビディアが半導体メーカーから、業界の基盤を築く存在へと変貌を遂げたことを示している」と述べた。「市場はこの成長機会の大きさをまだ十分に織り込んでいない」とした上で、エヌビディアがAI関連銘柄の中で有力な投資先の一つという認識を示した。
エヌビディアのAI半導体市場での独走は鮮明になりつつある。
同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO
)
は28日
、米エネルギー省向けに7台の新しいスーパーコンピューターを構築する計画を発表。また、フィンランドの通信機器メーカー、ノキア
また、トランプ米大統領は29日、30 日に予定される中国の習近平国家主席との首脳会談 で、エヌビディアのAI用最先端半導体「ブラックウェル」について協議する可能性があると述べた。
AI競争ではエヌビディアが依然として圧倒的なトップランナーだが、アップルAAPL.OとマイクロソフトMSFT.Oも過去数カ月に時価総額が4兆ドルに達した。
アナリストはこうした株価上昇について、大規模AI支出に対する投資家の自信を反映していると述べているが、バリュエーション高騰を警告する声もある。
タトル・キャピタル・マネジメントのマシュー・タトル最高経営責任者(CEO)は「現在のAI拡大は少数の有力企業が互いの生産能力に資金を提供することに依存している。投資家が生産能力の発表ではなくキャッシュフローのリターンを要求し始めた瞬間、こうしたフライホイールの一部が停止する可能性がある」と述べた。
S&P総合500種.SPXとナスダック100.NDXにおけるハイテク企業の大きなウエートは、世界の市場全体を左右する状況になっている。