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〔GRAPHIC〕金価格が過去最高値、銀も迫る勢い

ロイターOct 2, 2025 2:31 AM

Anushree Mukherjee

- 金価格が1日、過去最高値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待の高まりや、ドル安を背景に比較的安全な資産としての金需要が高まっており、今年に入ってからの上昇率は47%に達した。

銀も追随し、今年に入ってから63%上昇、過去最高値に迫る水準で推移している。

<強気相場が加速>

金地金(金現物) XAU=は1日に1オンス当たり3895.09ドルを付け、過去最高値を更新した。1520GMT時点では3864.16ドルで取引された。利回りを生まない金は地政学的および経済的に不確実性が高まる時期に投資家をひきつけており、2024年には27%上昇した。

業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のシニア市場ストラテジスト、ジョセフ・カバトーニ氏は「投資家はFRBの政策の転換から世界的な政治情勢まであらゆる要素に対応しており、金は価値の保有手段としての役割を伝統的に果たしている」とし、「今重要なのは、この安全資産としての需要が構造的な資産配分のトレンドに重なっている点だ。すなわち金は単に出来事に反応しているだけではなく、ポートフォリオの中核資産として定着しつつある」との見解を示した。

米国の政策では、FRBが9月に今年では初めての利下げを実施し、市場では2025年にさらに2回の利下げを織り込んでいる。

中東での紛争やロシアのウクライナ侵攻は、トランプ米大統領が影響力を強めているFRBの独立性に対する懸念とともに、市場の不安や経済の不確実性をあおっている。

そのような中で金価格は、中央銀行による金の購入、金上場投資信託(ETF)への資金の流入増、ドル安、不確実性に対するヘッジとしての好調な需要によって押し上げられている。

ソシエテ・ジェネラルのコモディティー(商品)調査グローバル責任者、マイケル・ヘイ氏は「不確実性のレベルが高い限り、(金への)ETFの流入は続くだろう(中略)年末までに金価格は1オンス=4000ドルを突破するだろう」との見方を示す。

WGCによると、世界の金ETFに対する需要は今年に入ってから587.8トンの純流入となり、6.8トンの純流出となった24年から回復した。

<銀も強気相場が続く>
一方、銀価格も1オンス当たり47.83ドルと、2011年5月以来の高値を付けた。過去最高値は11年4月に付けた49.51ドルだ。

銀価格の上昇は、金を押し上げているのと同じマクロ経済の要因に加え、堅調な工業需要、逼迫した現物市場、投機の勢いによって支えられている。

金銀比率は約82と、昨年10月下旬以来の低水準になっている。これは銀が金に対して相対的に強含んでいることを示している。

ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのグローバル金戦略責任者、アーカシュ・ドシ氏は「銀は25年半ばまでの数四半期にわたって金に比べたパフォーマンスが劣っていたため、遅れをやや取り戻す動きが出ている」と言及。また、過去数年間は銀の供給増加幅が需要増加幅に遅れを取っており、最近のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)での取引価格がロンドン市場の現物価格を上回ったことで、金先物(COMEX)システムへの引き渡しが促進されていると指摘した。

銀の世界需要の6割弱を占める工業用では、米国が銀を重要鉱物暫定リストに追加したことでトランプ政権が関税を引き上げる可能性が取りざたされ、市場の注目を集めている。

CMEの銀在庫高は今年に入ってから6割超も増加しており、5億3020万オンスに達した。それでも、銀は25年に5年連続の供給不足になる方向だ。

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