[15日 ロイター] - 米国が主要な貿易相手国と合意に達し、貿易摩擦の悪化を巡る懸念が和らぎ投資家心理が改善した結果、7月のアジア債券市場からの資金流出額は大幅に減少した。
インド、インドネシア、タイ、マレーシア、韓国各国の規制当局および債券市場協会のデータによると、7月の域内債券の純売却額は8億0600万ドルで前月の21億ドルから約62%減少した。
ANZのアジア調査責任者クーン・ゴー氏は「関税について明確になったため、今後のポートフォリオの資金流れは米連邦準備理事会(FRB)の政策見通しや地域の輸出・成長がどのようになるのかに左右されるだろう」と述べた。
インドネシア債券からの資金流出額は前月の19億ドルから減少し、7月は約16億ドルとなった。
トランプ米大統領は7月下旬、インドネシアからの輸入品に19%の関税を課すことで合意した。当初は32%関税をかけると脅していたが、引き下げた。マレーシアからの輸入品にも8月初旬、同じく19%の関税を課した。
7月のマレーシア債券市場は13億ドルの資金流出があり、2カ月連続で流出した。
タイ、インドの債券市場は7月の純売却額がそれぞれ3800万ドル、2500万ドルで、ともに6月の8億8300万ドル、7億1700万ドルから大幅に減少した。
トランプ氏は先週、インドからの輸入品に25%の追加関税を課し、一部のインド製品に対する関税率が最大50%に達した。インドがロシア産原油の輸入を継続しているのを理由としている。
一方、韓国の債券市場はこうした傾向に逆行し、7月の純購入額が21億6000万ドルと6カ月連続の資金流入となった。韓国国債は2025年11月に予定されている「FTSE世界国債指数(WGBI)」への組み入れの恩恵を引き続き受けている。
イーストスプリング・インベストメンツのポートフォリオ・マネージャー、ロン・レン・ゴー氏は「米ドル資産の分散を目指している投資家にとって、アジアの現地通貨建て債券は実質利回りが魅力的で通貨上昇の可能性もある」とし、「地域で予想される利下げも、現地の債券市場を下支えする要因となるだろう」との見解を示した。