
Alessandro Parodi Lewis Jackson
[パリ/北京 25日 ロイター] - 世界中で数十億ドル規模に上るレアアース(希土類)開発プロジェクト立ち上げ準備が進んでおり、米国の場合は中国からの供給に依存する構図がある程度解消される見通しだ。ただし他のほとんどの国にとっては、中国の市場支配を突き崩すには不十分とみられる。
ロイターが国際エネルギー機関(IEA)のデータを分析したところでは、中国は2030年まで引き続き世界の重要な磁石製造用レアアースの約60%を供給する。対照的に米国は、自国需要のおよそ95%を国内の資源で賄えるようになりそうだ。
しかしこうした見通しは、現在の予定通りに開発拠点が立ち上がり、拡大することが前提になる。複数の専門家は、新しい鉱山と精錬施設の完成には何年もかかり、中国以外で機械設備を見つけ出すのは難しい上に費用もかさみ、熟練労働者は不足していると問題点を挙げる。
またIEAの見積もりは、17種類のレアアースのうち4種類のみが対象。中国は、より希少性が高いが産業に不可欠な重レアアースの加工分野では支配的な地位を維持し、西側は30年時点でも重レアアース需要の91%を中国に頼ると予想される。
ベンチマーク・ミネラルズの調査マネジャー、ネハ・ムカージー氏は「30年までわれわれはトラブルに陥ったままだろう。全てのプロジェクトが稼働したとしても、トラブルの度合いが今より少なくなるだけだ」と述べた。