
Juveria Tabassum Sriparna Roy
[3日 ロイター] - 米日用品大手キンバリークラークKMB.Oは、米コンシューマーヘルスのケンビューKVUE.Nを400億ドル超で買収することで合意した。買収取引は2026年後半に完了する見込みで、米消費財セクターにおける買収としては過去最大規模となる。ケンビューは、ばんそうこうブランド「バンドエイド」を展開するほか、解熱鎮痛薬「タイレノール」の製造も行っている。
合併後の新会社の年間売上高は、約320億ドルに達すると予想される。ケンビュー株主は1株当たり現金3.50ドルと、キンバリークラーク株0.15株を受け取る。これは、ケンビューの直近株価に対して46.2%のプレミアムを乗せた水準となる。
キンバリークラークは、今回の取引によって年間21億ドルのコスト削減を見込む。買収資金は現金と負債の組み合わせで調達するという。
ケンビューにとっては、タイレノールを巡る訴訟など困難な状況に直面する中での合意となった。米南部テキサス州のパクストン司法長官(共和党)は先月、タイレノールの製造元であるジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)JNJ.Nとケンビューが自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)との関連性を意図的に隠していたとして提訴。また、ケネディ米厚生長官は先月29日、タイレノールについて、自閉症を引き起こすことを示す証拠はないが、それでも慎重に使用すべきだと表明した。
ケンビューの株価は午前の取引で約15%上昇、一方キンバリークラークの株価は約12%下落している。
アナリストや投資家は、消費者需要の低迷や訴訟リスクが続く中での今回の買収のタイミングに驚きを示している。
ノヴァレ・キャピタル・マネジメントのジェームズ・ハーロウ氏は、「多くの投資家は、ケンビューが一部のブランドを売却することはあっても、会社全体を売却するとは予想していなかった。キンバリークラークは、割安に取引されている強力なブランド群に長期的な価値を見出したのだろう」と述べた。