Arasu Kannagi Basil Pritam Biswas
[10日 ロイター] - ニューヨーク証券取引所(NYSE)に10日上場したスウェーデンのフィンテック企業クラーナKLAR.Nの株価は、初値が52ドルと新規株式公開(IPO)価格の40ドルから30%上昇し、評価額はIPO時点の151億ドルから196億5000万ドルに膨らんだ。
スウェーデン企業による米上場としては、2018年の音楽配信サービスのスポティファイSPOT.N以来の規模。12日の暗号資産(仮想通貨)交換所ジェミニなど一連の有力なIPO案件が今後に控える中で、幸先の良い滑り出しとなった。
トランプ米大統領が「相互関税」を発表した4月以降に市場の地合いが悪化し、クラーナなど幾つかの企業が上場計画を一時保留する場面もあったが、IPO市場が力強く復活したことを物語っている。
AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は「(クラーナ株の)上場後の堅調な値動きは、他のフィンテック企業をIPOに踏み切ろうと確信させる可能性がある」と述べた。
クラーナは後払い決済(BNPL)サービスを手がける企業。ニクラス・ネグレン最高財務責任者(CFO)はロイターのインタビューで「この(上場)は、金融サービス産業に風穴を開け、次世代のパーソナルファイナンスを目指す旅に、主として新規の株主や1億1000万人の利用者などが参加する絶好の機会だ」と語った。
マージマーケットの株式資本市場責任者を務めるサミュエル・カー氏は「クラーナが想定レンジを上回った点を踏まえれば、150億ドルの評価額は期待外れとは程遠い。発行体が投資家の需要を呼び込み、もっと買いたいと思ってもらえるように当初の目標評価額を控えめに設定する傾向が続いていることが分かる」と指摘した。