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〔情報BOX〕ハメネイ師殺害で揺らぐイラン体制、次期最高指導者は誰か

ロイターMar 2, 2026 12:05 AM

Parisa Hafezi Angus McDowall

- イランは最高指導者ハメネイ師が殺害されたことで、イスラム神政政治体制が危機に陥り、次期最高指導者が誰になるのか、またこれからどのような事態が起きるのか予測が難しくなっている。

聖職者や革命防衛隊幹部、ハメネイ師の長年の顧問といった過去数十年にわたってイランの体制を運営してきた人々を標的とする米国とイスラエルの攻撃はなお継続中だ。一方でイランの大統領らでつくる「臨時評議会」が設置され、次期最高指導者選出まで当面の国家運営を代行する。

イランの統治システムや次期最高指導者選出方法、具体的な候補、米国・イスラエルの攻撃による変化の可能性について以下にまとめた。

◎イスラム神政政治とは

現在の神政政治体制は1979年のイスラム革命でパーレビ国王を追放して最高指導者になったホメイニ師が「イスラム法学者の統治」として新たに導入した。

この理論によると、9世紀に姿を消したイスラム教シーア派第12代イマーム(神が定めた指導者)が再臨するまで、地上の権力は徳の高い聖職者によって行使されるべきとなっている。

つまり最高指導者に就任する者は、大統領と国会を導く究極の権威として憲法から権限を与えられた高位の聖職者でなければならない。

1989年に死去したホメイニ師と、その後継者になったハメネイ師の下で、最高指導者は国家の全ての事案について最終的な決定権を保持してきた。しかし新しい指導者は、極めて大きな変革の瞬間に、自らの権威を主張することを迫られるだろう。

◎ハメネイ師の後継者を誰が選ぶか

憲法では新たな指導者を3カ月以内に必ず選出することが義務付けられている。それまではペゼシュキアン大統領と聖職者アラフィ師、モホセニエジェイ司法府代表の3人がメンバーとなる「臨時評議会」が国政を代行する。

新たな最高指導者を選ぶ責任は、約90名の高位聖職者で構成され、8年ごとに選出される専門家会議にある。しかし攻撃が続いているため、会議がいつ、どのように開かれるかは不明だ。

ハメネイ師は好ましい後継者を指名しておらず、現実的にはハメネイ師の下で統治に携わってきた最も高位の聖職者によって決められる公算が大きい。こうして指名された候補者は、専門家会議の承認を受けなければならないだろう。

これら高位聖職者のうち最も重要な人物は、長らくハメネイ師の顧問を務めてきた最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長で、イランでも屈指の政治的な実力者との見方が多い。

◎後継者の有力候補

ハメネイ師の息子、モジュタバ氏はこれまで時折、後継者になりそうだとみなされてきたが、現在は消息が不明になっている。モジュタバ氏の妻は2月28日に空爆で死亡したことが確認されているが、同氏自身が死んだかどうかはっきりしていない。

そこでホメイニ師の孫に当たるハッサン氏がより有力な選択肢として浮上してきた。ハッサン氏は何十年にもわたってイランを穏健化しようとしてきた改革派と密接なつながりがあり、西側との敵対関係を和らげ、国民の体制への怒りを静める可能性があるとみなされるかもしれない。

アラフィ師とモホセニエジェイ氏は、ハメネイ師の強硬姿勢を継承する公算が大きく、後継者に選ばれる確率はより低い。モホセニエジェイ氏は、情報相時代の2009年に選挙結果を巡る抗議デモを強引に鎮圧した責任もある。

ロウハニ元大統領は高位聖職者だが、最高指導者選出で大きな影響力を持つ最強硬派の一部から不信感を持たれている。

専門家会議は、知名度の低い聖職者を最高指導者として選ぶことも理論的にはあり得る。ただ米国とイスラエルの攻撃で統治機構がばらばらに崩されてしまった以上、新たに就任した最高指導者の権威を支えるのは、これまでよりずっと困難になるだろう。

◎革命防衛隊の役割は

革命防衛隊はこれまでずっと、ハメネイ師の後継者決定の舞台裏で中心的な役割を果たすと見込まれていた。革命防衛隊は、選挙を経た大統領の指揮下にある通常の軍と異なり、命令を聞くのは最高指導者だけだ。

しかし米国とイスラエルによる近年の攻撃で、革命防衛隊の上層部が次々殺害されたため、最高指導者選出になお影響力を及ぼせるかどうかは不透明感が非常に大きい。

近年の革命防衛隊で最も重要な存在だったのは、精鋭のコッズ部隊を率いてアラブ諸国の親イラン武装勢力を通じた「革命輸出」の戦略を推進してきたカッセム・ソレイマニ氏だったが、2020年に米軍の攻撃で殺害された。

昨年6月の「12日間戦争」においても複数の革命防衛隊上層幹部がイスラエルによって殺害され、今回の米国・イスラエルの攻撃では革命防衛隊トップのパクプール司令官も死亡している。

革命防衛隊は2000年代初頭以降経済的影響力も拡大の一途をたどり、関連企業がイランの石油・ガス部門で数十億ドル規模の事業を受注してきた。その巨大な経済的権益を守ることが、革命防衛隊にとって新たな最高指導者を支持するかどうかの判断にかかわってくるかもしれない。

◎イラン国民は発言権を持てるか。

イランでは大統領と国会議員が4年ごとに国民の選挙で選ばれる。大統領に任命された政府は、最高指導者が認めた範囲内で日常的な政策を扱う。

こうした選挙は、イスラム共和国の初期こそ投票率が高かったが、現在も選挙の公正性に信頼を置く国民はずっと少なくなっている。

ペゼシュキアン大統領は穏健派として知られ、臨時評議会の一員になった。ただ今後の情勢に関して大統領がどれほどの発言力を持つのかは非常に不透明だ。

また専門家会議は選挙を経てメンバーが決まるものの、その候補者はイランの国政選挙の全ての立候補者と同様に、聖職者で構成する監督者評議会の審査を受けなければならない。このため当局に忠実な人物しか候補者になれない仕組みとなっている。

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