Robert Cyran
[ニューヨーク 25日 ロイター Breakingviews] - 米半導体大手エヌビディアNVDA.Oの半導体は、人工知能(AI)にとって不可欠だ。したがって、同社が25日に発表した第4・四半期(2025年11月―26年1月)決算で半導体の販売好調を報告したのは当然と言える。半導体需要が飽くなき勢いで拡大する中、売上高は前年同期比73%増の680億ドルに達した。しかし時価総額が4兆8000億ドル規模の巨大IT企業は、好況が続くのかどうかに投資家が懐疑的になっているという問題を抱えている。
現時点では、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)がもたらした業績にけちをつけ難い。前四半期の粗利益率は75%と驚異的な水準を記録した。メタ・プラットフォームズMETA.Oが前四半期の投資支出を前年同期より約50%増やすなど、世界のIT大手がデータセンターにエヌビディアの機器を詰め込むための狂乱的な競争は、同社が驚異的な価格決定力を持っていることを意味する。
アルファベットGOOGL.Oが26年の設備投資を最大で1850億ドルに倍増させる方針を表明するなど、このブームはすぐには終わらない。
問題は、エヌビディアが現在の利益水準を維持できるかどうかだ。データセンターには土地と建物、電力、熟練労働者も必要となる。これら全てが予算を膨れ上がらせる。
一方でエヌビディアも供給制約に直面している。不足が顕著になっているのは特殊メモリー分野だ。AI向け半導体の演算能力が、必要とする膨大なデータ処理能力を上回っている。
その結果、生成AI向けのHBM(広帯域メモリー)の価格が急騰。韓国のSKハイニックス000660.KSは25年のHBMの売り上げが前年の2倍超となった。
これまでのところ、エヌビディアがコストの上昇分を顧客に転嫁できることが、あらゆる兆候から示されている。同社は25日、今後数四半期以上にわたって需要を満たす在庫と生産能力を持てると発表した。
しかし、広範にわたる半導体不足は過去6カ月間にさらに深刻化している。米ダラス地区連銀が24日発表した南部テキサス州サービス業見通しの回答者の1人は、部品が「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)並みの供給制約」に直面していると指摘した。
この状況が続けば、半導体メーカーが最終的に業界利益のより大きな部分を飲み込む可能性もある。投資家もこれを予想しているようで、エヌビディアの株価が横ばいで推移する一方で、半導体メーカー株は買われている。
より大きな問題は、データセンターの拡張がどれだけ長く、どこまでの規模で続くかに尽きるのかもしれない。これは半導体市場が経験した初めてのブーム、あるいはバブル崩壊ではない。
一例としてSKハイニックスは、新型コロナ禍後の供給過剰によって23年は60億ドルを超える損失を計上した。投資家はこれを織り込んでおり、同社の株価が急騰した後でも、今後1年間の予想利益の5倍でしか取引されていない。
一方、LSEGによるとエヌビディアの株価収益率(PER)は24倍だ。過去が前兆であるならば、評価額はさらに収束する可能性がある。結局のところ、両社は半導体の同じサイクルに左右されるのだから。
●背景となるニュース
*エヌビディアは25日、第4・四半期(2025年11月―26年1月)の売上高が約680億ドルと、前年同期比で73%増えたと発表した。1株当たり利益は1.76ドルとなり、前年同期の0.89ドルから増加した。nL6N3ZL1BJ
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)