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〔焦点〕トランプ氏のイラン攻撃延期の舞台裏、「誤算」と湾岸諸国の警告

ロイターMar 25, 2026 3:29 AM

Samia Nakhoul

- トランプ米大統領がイランとの断固とした対決姿勢を突然取りやめた裏では、ペルシャ湾岸諸国が「この戦争がはるかに危険な状況に陥る」との警告を発し、地域内で米国がイランの姿勢を読み違えたのではないかとの懸念が高まっていたもようだ。複数の地域関係者や専門家はこう分析している。

3人の地域関係者の話では、湾岸諸国は、米国がイランの発電所を攻撃すればペルシャ湾岸の重要なエネルギー・淡水化施設が報復攻撃されるとトランプ氏に直接警告したもようだ。

 トランプ氏は、イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡を開放しなければ、イランの発電所を攻撃すると脅した。ところがイランは屈せず、トランプ氏による「力の行使」の限界が露呈してしまった。nL6N40B0N9

イランはアラブ側の仲介者を通じて湾岸諸国に、発電所が米国から攻撃を受けた場合、無制限の報復措置を発動すると伝えた、と別の2人の地域関係者は明かす。

米国の元外交官でイラン専門家のアラン・エア氏は「トランプ氏は48時間以内にホルムズ海峡を開放しろと迫った時点で完全な計算違いをしていた。イランが対抗措置として湾岸のエネルギー施設攻撃を真剣に考えているとはっきりするとともに、トランプ氏は引き下がらざるを得なくなった」と指摘した。

<イランの能力と意思>

米シンクタンク、中東研究所のアレックス・バタンカ氏は、イランが戦闘継続能力を持っていること、歯止めなく戦闘をエスカレートさせる構えであることという2つの点でトランプ氏を驚かせたと話す。

地域関係者や専門家によると、トランプ氏によるイランの発電所攻撃中断からは、自身でエスカレートを示唆した戦争が既に同氏の制御可能範囲を逸脱していること、そしてその代償がもはや米国の強さを投影させることで得られるどんな政治的得点よりも大きくなったことがうかがえる。

そうした中で水面下では、パキスタンやトルコ、エジプトといった仲介国や、自分たちで選んだわけではない戦争に巻き込まれて不安にさいなまれている湾岸諸国により、戦火の拡大を抑えるための努力が続けられてきた。

アラブ首長国連邦(UAE)のシンクタンク、エミレーツ・ポリシー・センターのエブテサム・アルケトビ所長は、トランプ氏の攻撃中断から導かれる可能性がある2つのシナリオを提示した。

一つは戦術的なもので、米国が部隊展開を完了させ、イランの反応をうかがいながら、より大規模な攻撃に踏み切る前の最終通告を行うための「時間稼ぎ」が行われる。

もう一つの戦略的なシナリオは、湾岸地域における安全保障上の交戦規定再設定を含む、より幅広い合意に向けた足場固めとして、緊張緩和を利用する試みだ。

アルケトビ氏は、いずれにしても戦争が終結したわけではなく、単に交渉の手段として再利用されているだけだとみている。

<湾岸諸国の怒り>

中東研究所のバタンカ氏は、戦争に巻き込まれてホルムズ海峡経由の原油輸出が不可能になったり、液化天然ガス(LNG)施設に被害を受けたりした湾岸諸国が最も割を食う事態になったと解説した上で「私が湾岸諸国の指導者なら怒り心頭だろう。何ら同意しないまま非常に大きなリスクにさらされ、過去4週間で被った損害の復旧には何年もかかる恐れがある」と述べた。

複数の専門家は、トランプ氏がイランの底力と、周辺地域と世界全体に及ぼす悪影響の規模の双方で判断を間違ったとの見方を示した。

イランは反撃できないほど弱体で分断され、反撃力は抑止されると考えていたトランプ氏が直面したのはイラン側による非対称的なエスカレーションで、それが米国のパートナー諸国と世界経済に重大なコストをもたらしたとみられている。

その結果がトランプ氏お決まりの軌道修正だった。つまり強硬な言い回しを振りかざしながら、実際の決定は先送りする手法だ。専門家らによると、選択肢の温存は、力を見せつけるはずの行為が政権の命運を左右する「泥沼」へ変わる危険をはらむ事態のエスカレーションからは身を引くことを意味している。

より深刻な問題は、自分の手で現状を再構築できるというトランプ氏の考えが、この戦争で打ち砕かれたことにある。痛手は受けながら壊滅していないイランは、一つの明確な教訓を得ている。それは「抑止力は機能する」ということだ。現在のイラン当局による政治的計算の裏にあるのは自信と恐怖の混在で、この戦争から何か持続的な成果を引き出すか、再び戦火に引きずり込まれる危険を冒すかだという。

一方、トランプ氏にとっては、今後のいかなる合意も本人が望むより範囲が狭まり、対価も大きくなり、対外的な納得を得るのは難しくなるだろう。

イラン専門家のエア氏は「イランは一部では大胆になり、別の部分では恐怖を感じている。彼らは甚大な被害や破壊、死を経験し、これを繰り返したくないと考えている。しかし以前の状態に戻ることもできない」と述べ、そうなればイスラエルが単に「草を刈る」ように定期的な攻撃をしかけてくるからだと説明した。

イラン系米国人で外交専門家のバリ・ナスル氏は、イランはもはや戦前の状態への復帰を求めているのではなく、解決策として安全保障の確約、経済的救済、そして湾岸地域における新たなパワーバランスなどを望んでいるとの見方を示した。

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