Noriyuki Hirata
[東京 1日 ロイター] - 東京エレクトロン8035.Tが前日の決算発表を受け、ストップ安水準となる18%超安の2万2330円に急落して寄り付き、その後も安値圏での推移となっているnL4N3TS0R2。東証プライム市場の値下がり率でトップ。東エレクは日経平均への寄与度が高く、1銘柄で指数を400円超押し下げている。米市場での半導体株安もあり、関連株は総じて弱い。
東京エレクは31日、2026年3月期の連結営業利益見通しを7270億円から前年比18.3%減の5700億円に下方修正すると発表し、嫌気する動きが先行している。増益予想から一転、減益の予想となる。顧客の半導体メーカーによる設備投資計画の調整を踏まえた。年間配当も4月に公表した1株618円を485円に下方修正し、増配予想から減配予想に見直した。
初期反応として、下方修正や減配に対する機械的な売りが出やすいとの声が聞かれる。また、松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「下方修正も意外だったが、市場予想を大きく下回ったことがサプライズになった」と話す。会社側の新たな見通しは、IBESがまとめたアナリスト18人の予想平均7149億円を大きく下回った。「AI(人工知能)向け以外の半導体が厳しいことが示され、失望売りにつながっている」(窪田氏)という。
市場では、投資計画を調整しているのは米インテルINTC.Oとみられている。インテルは次世代技術の開発に注力する一方、足元の設備投資を絞っている。国内半導体関連銘柄では、とりわけKOKUSAI ELECTRIC6525.Tなど加工装置メーカーに思惑が強く波及しているとの見方もある。
東エレクは、2027年3月期に売上高3兆円を掲げている。川本弘常務は会見で、再来期に新しいGPU(画像処理半導体)が出てくることに期待感を示し「来期は市場も大きく伸びてくると思う。ただ、今期下方修正したことで、精査するが、(3兆円達成の)時期が多少ずれることもあり得る」との見方を示した。
半導体業界の設備投資は、韓国SKハイニックス000660.KSや米マイクロンテクノロジーMU.Oが高水準と見込まれるほか、韓国のサムスン電子005930.KSが米テスラTSLA.Oから大型案件を受注し、米工場の設備投資を増やす方向とされる。
こうした環境下で東エレクは「競争力が損なわれているわけではなく、一定程度の受注獲得が期待される」と岩井コスモ証券の斉藤和嘉シニアアナリストはみている。斉藤氏は、来期は後半以降に回復基調となる可能性があるとの見立てを示しており、当面は株価のボラティリティが高まりかねないが「短期は慎重、中長期は強気のスタンスでいいのではないか」と話す。